IoT加工数送信機の製作と運用

先日(2017/9)、ようやく、IoT加工数送信機の実地運用テストを開始することができた。いくつか問題点はあるが、思ったより順調に進行している。

◯IoT機の内容
稼働状況(ちょこ停)を調べるためのIoT機器を作成した。内容は機械から加工信号を受取り、それをクラウドに送信して記録するしくみだ。
普通なら、1つ加工したら、1回送信して、後から、加工間隔の開いている部分を集計すればいいと考える。だが、1台の機械で1日に数千個生産されるということは、データも数千件づつ溜まっていくということだ。通信量も、結構な量になる。クラウドというのは、基本的に従量制であり、数が増えればコストもかかるようになる。

そこで60秒(変更可)以上停止していたら、1タスク(加工)の終了とみなし、開始と終了時だけ送信するしくみにした(以下、このしくみを"タスク通知"と称す)。これで集計しなくても、簡単にちょこ停状況を把握できるはずだ。
 種別としてはインテリジェント型であるが、結局のところ、IoT機器ファームウェアづくりで苦労するか、クラウト側のプログラムで苦労するかの違いだけだ。確かにクラウト側で処理した方が柔軟性はあるが、他の情報と関連付けないと意味のあるデータにならないため、中小企業では、導入のハードルが高すぎると思う。結局のところ、この程度の荒さでも、これまではなにもわからない状態だったわけで、この仕様でも、目的は達せられるはずだ。

◯運用テストの仕様
運用テストは知り合いの金属加工(プレス)会社に協力をお願いした。目的はプレス機の稼働状況(ちょこ停)の取得である。プレス機というのは、材料の金属板を金型で挟みこんで、形をつくる機械のことだ。プレス(押す)タイミングは、作業者がボタンを操作して行う(手動機の場合)。角度計というのは、上下に動くプレス装置が、今、どの位置にあるかを示す装置で、生産個数のカウントにも使われる。


◯取付工事の内容
角度計の接点(制御盤内の端子台)に、電源と信号線の計3本を繋ぐだけ
当社は盤屋なので、できるだけ簡単に工事ができるように、いろいろ工夫してある。

◯IoT機器との接続
制御盤からのケーブルとIoT機をコネクタで繋ぐだけ
バーコードリーダーは、スーパーのレジと同じで、かざすだけで伝票番号を読み取れるように設定してある。

◯インターネット接続
クラウドとは、LTE無線ルーターを介し接続した(工場内に無線LAN設備がなかったため)。
LTEルーターには格安SIMを使っている。タスク通知のおかげで、通信コストは月に0~数百円に抑えられる(IoTの台数が増えれば別だが)。
ただし、このLTE無線ルーターというのが曲者だ。まず日本では固定型(据え置き)の製品がほとんどない。モバイルルーターが仕様としては一番近いのだが、常時接続用とすると問題がないわけではない。
致命的なのは、どうかすると接続が切れてしまう問題がある。いままで、2種類3台、SIMを2社試したが、どれも同じで長期間安定的に通信させるには不安がのこる。
今回はデモということでご容赦願ったが、本格運用するなら、やはり、常時接続のインターネット回線が必要だろう。

◯予想外だったこと
実際に運用をはじめて、想定外のことがいろいろあった。その一つは、昼休みに機械電源を落とされてしまうことだ。
このIoT機は、機械から電源を取っているので、機械電源を切られてしまうと通信ができなくなってしまう。
その他、いろいろあったが、とりあえず、問題回避の手段を準備したので、運用に支障はないと思う。

◯取得されたデータ
取得されたデータは、素人が見ても、結構、興味深いものだった。製品の寸法確認等で停止している正規の時間もあれば、それ以外の不明な停止時間もあるようだ。
当初の「チョコ停状況を把握する」という目的は達成できているように思う。

◯クラウドで簡単・便利
今までなら、このようなシステムを運用するには、社内にサーバーが必要になったり、専用プログラムを社内のPCにインストールしたりする必要があった。
とうぜん、初期費用もかなりかかる。初期費用がかかっていれば、途中でも止めるに止められない。

しかし、クラウドを活用することで、社内に新たな設備をする必要がない蓄積データは、ブラウザで閲覧できるので、PCでもスマホがあれば良く、インストールする必要すらない。
実際、初期費用として必要なのは、機械との接続のための工事費だけだ。
これは、効果があるのか無いのかはっきりしないようなものに投資するのが難しい中小企業にとっては朗報だと思う。

○IoTで思う事
IoT関連フェアだと、チップメーカーと、クラウド関連のメーカーが多く出展している。これはIoTの両端の企業だが、その途中がすっぽり抜けているような気がしてならない。
この間を、どこかが埋めないと、IoT化は進まないと思う。当社がその一助になれれば良いと思っている。