この度、節電のため電力デマンド装置を自前で設置しました。最終目的はIoT化するのが目的のため、最初にデマンド機器の選定(購入)したのですが、これが裏目に出てひどく難航しました。デマンド設置は業者にまかせるのが常識のせいか、参考記事がほとんどありませんでしたので、その顛末を残しておくことにしました。
〇動機
電力デマンド装置というのは、電気の使用量を把握するための装置です。装置自体は世にたくさんあるのですが、実際に設置をし運用をしようとすると、それなり費用※がかかるため、小規模事業者ではペイできないという悩ましいしろものです。しかし会社として「節電!」といくら言っても、どんな状況の時に、どのくらい使っているのかが見えなければ、社員も行動のしようがありません。翌月、電力会社から請求書が来てからでは意味がないのです。
※初期費用で、0~数十万円、月額で13,000~23,000程度。
〇機器の選定
経費節減が目標ですから、下記の条件は必須です。
- 装置自体が安い
- 運用費がかからない
そこで選んだのが、パワーみえーるです。安価ですが当方の目的には十分な機能があります。
〇電力業界は素人にはわからないことだらけ
この装置に電力量を測定するためのパルスを入力する必要があることは理解できましたが、それをどこからどうやって入力してやるのかがピンときません。最初はキュービクル中の取れるところがあるのではないかと思っていたのですが、どうもそうではなさそうです。やはり、電力デマンドを扱っている業者に頼むしかないと思い、いろいろ探しました。しかし、業者としては自分が扱っているデマンド装置以外はやりたくないらしく、どこからも色よい返事がありませんでした。メーカーにも問い合わせしましたが、購入は工事会社とセットらしく、工事業者だけの紹介はできないという、つれない回答でした。
その後、発電関係仕事をしている人と顔見知りになり聞いてみたところ、電力メーターボックス内にパルス検知機をつければいいことがわかりました。その会社にも工事の依頼をしたのですが、また、なしのつぶてで、とうとう3年近くが経過してしまいました。
◯転機
もう設置は半分あきらめていたのですが、たまたま電力メーターの交換があり、来られた中部電力の方に事情を話したところ、契約センターに電話してもらえば、電力ボックスを開けて、パルス検知機を取付(立会)はできるとの回答を得ることができました。当社は電機会社ですのでケーブル等は簡単に用意ができます。さっそく電気メーターから、建屋まで配線(0.5sq 3線 40mくらい)を行い、屋内へは換気扇フードの隙間から線を引き込みました。
◯申込み
教えて頂いた契約センターに電話したところ、デマンド装置を取り付けには申込みが必要とのことで、ネットから申し込みを行いました。申し込みには"受信場所供給地点特定番号"というのが必要なのですが、これも契約者の名前と住所を伝えれば教えてもらえます。ほどなく、工事立会日が決まりました。しかし繋ぎ込みの工事内容がわからないので、少々不安でした。パルス検知機は、クランプ式(線にひっかける)なので、電力メーターボックス内のどっかの線にひっかけるだけで終わると思っていました(しかし、これは少々楽観すぎました)。
◯工事時の想定外
当日(2019/4/23)、中部電力の方が2名来られましたが、立会だけなので、工事自体は、当然、当方(素人)でしなくてはなりません。最初は、電力メーターボックスに穴を開けてと思っていたのですが、ボックスの穴開けはダメみたいで、既存の穴の隙間から電線を入れることになりました。また、パルスを拾う線がどれかがわからなかったのですが、中電の方にお聞きしたところ、空き端子板に電線を追加して、その線にパルス検出器を付ける必要があるとのことでした。
当社には電線(2sqが30cmくらい)、棒端子(多分、ホームセンターにもある)、圧着ペンチはあるので、障害にはなりませんでした。接続が完了し、パルスの確認もできたので、これで一安心です。中電の方には、素人工事にお付き合い頂き感謝しております。
◯どうも値がおかしい
計測を始めたもののどうも値がおかしいことに気が付きました。パルスは取れているので電力換算がおかしいのはわかりましたが、設定欄へ入力する値がわかりません。
しかし、電力メーターをよく見てみると、表記がありました。この値を設定して、ようやく正しい値を得ることができました。
◯念願のIoT機と接続
このデマンド装置には、警告値に到達したらメール送信やリレーを動作させる機能があります。メールだと見落としがあるので、できれば即時、社内に通報できるしくみが望ましいといえます。
そこで、リレー接点を拾って、自社のIoT機で、mqtt-brokerに通知するようにしました。やっていることは、加工数送信機と同じですので、ハードもソフトもほぼ流用できます。
さて、受け側(警告通知を受信し社員に伝える)をどうしようかと悩みましたが、一番、安価で簡単で確実な方法として、以前作成したチャイムタイマーを改造し、警告通知を受信したら時報とは別のチャイムを鳴らすことしました。これで、特定のチャイムが鳴ったら、一時的に照明やエアコンを切って貰らうことにより、電力ピークを抑えることができようになりました。
計画から3年近く経過してしまいましたが、これでようやく念願の電気料金を抑えるためのデマンド+IoTシステムが完成しました。
以上