2年に1回開催されている「安城ものづくり展示会」通称:ものコンに、弊社も出展(ブース:A-5)します
今回の出展では、春ごろから開発を始めた「Wi-Fiバーコードリーダー」を出品いたします。

○Wi-Fiバーコードリーダー(バッテリー駆動式)
社内の製造現場で、品目ごとの作業時間の集計を行うために開発しました。これまでは、作業終了後に、品目ごとの作業時間を記入用紙に書いて提出してもらい、それを日報としてデータ入力する方法で行っていました。しかし、記入間違い(製造番号の記入ミス)も多く、後から集計してみて、妙に時間の多い品目や、少なすぎる品目に気づくという状態でした。

当社の製造現場は、人があちこち動いて作業をするため、従来の据え置き式のIoT機では、対処ができません。このため、バッテリー駆動で持ち運びのできるバーコードリーダーが必要でした。市販の多くのバーコードリーダーはキーボード互換か、もしくはデータを蓄積してPC等で吸い上げるかです。Wi-Fi接続は電気食いなので、バッテリー駆動では不利です(市販のWiFiバーコードリーダーが、あまりないのはそのためだと思われます)。ESP32はBluetoothも使えますから、中継機を介せばクラウドにデータを上げることも可能ですが、単体でいきなりクラウドに送信できる魅力には抗えず、今回はWi-Fi仕様としました。

【動作フロー】
動作は単純でボタンを押すと、バーコードを読み取り、一定時間経過すると、クラウドに読み取ったコードを送るだけです。
クラウドでは読取コートと共にタイムスタンプを記録します。社員が退社する時にデータを集計し、日報データとしてSQLデータベースに記録します。

【苦労した点】
Wi-Fiバーコードリーダーのコンセプトは以前よりあったのですが、取り組むにはいくつかの未経験の分野があり、開発を躊躇していました。
実際のところ、スマホがあれば、同等のことはできてしまいますので、わざわざ機器として開発する意味があるかということでも悩みました。
今回、ものコンに出展することもあり、思い切って開発を行うことにしました。

[未経験の分野:パーツのSMD化]
可能な限りパーツをSMD(表面実装)タイプにする必要があることはわかっていたので、新たに工具を購入したり、リフローを自作したりしました。最終的に、一通りのパーツを基板に収める事ができました。

[未経験の分野:省電力化]
バッテリー駆動の経験は多少ありましたので、プロセッサのスリープ機能の見当はついていました。バーコードモジュールもデータシートではスリープモードがあることがわかっていましたが、こういうのは実測してみないとなんともいえません。このバーコードモジュールの場合、ライトスリープだと20mAくらい、デープスリープでも2mAくらい電力消費してしまうことがわかりました。デープスリープだと復帰に3~5秒くらいかかってしまうこともわかり、結局、スリープモードを使わず回路の工夫で対処するように変更しました。ほかにもいろいろ詰めて、最終的にはボタンを押してから3秒以内で読取りできるものにできました。

[未経験の分野:フライス盤でのケース加工]
以前からの課題だったケース加工にCNCフライス盤を導入することしました。今回は最低7台は作る必要があったためです。CNCフライス盤はまったくの未経験で基礎知識もなく、本当に苦労しました。今回のように既存のケースに加工を加えるとような事例が少なく、すべてが手探り状態でしたが、当初の目的は達成できました。


そんなこんなで、ひどく時間がかかってしまいましたが、製品の小型化技術や小ロット量産にも目途がつき、得ることの大きかった開発となりました。
以上